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2016.06.01 Wednesday

「まずは観ておこう」と思った映画は「とにかく誰かに話したくなる」映画だった


『ヴィクトリア 』
監督:セバスチャン・シッパー 撮影:ストゥルラ・ブラント・グロヴレン 2015年 ドイツ 139


140分のワンカットであることも予告編で知って、これはどんなに退屈だったとしても見ておくべきだと思った。その試みに敬意を表したかったからだ。
すさまじい映画だった。前半の数十分は、ヴィクトリアがクラブで出会った若い男たちと、ダラダラと酒を飲んで過ごす。日本でも見かけそうな、珍しくはない状況が続く。午前4時だと誰かが言った。明らかに品のない若者たちに、嫌悪ではなく僅かな共感を頼りに惹かれていく危うい娘がいる。一旦は若者と別れ、そのうちの一人・ゾンネに送られ、早朝から開けなければならない勤め先のカフェで、自らの挫折を語る。ピアニストになろうとしていた日々は、多くの同じような夢を見る若者がそうであるように打ち砕かれ、ヴィクトリアはベルリンに来たのだという。ゾンネと少しだけ通じあって、何事も無く明けるはずだったその日は、まだしらんでもいない頃に一変する。
「やばい仕事」に巻き込まれる。ありがちなストーリーだと思うが、その展開の速さに目を奪われた。強盗に言ったんは成功し、逃走し、冒頭のクラブで成功に酔う。再び逃走、銃撃、仲間の死、逃走、ゾンネの死、逃走。めまぐるしく変わる状況が、ワンカットで撮影されていることを忘れ、そのことに気がついて驚く。
自分が見ておくべき映画というだけでなく、誰かとその凄さを共有したくなる映画だった。

 
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