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2006.01.31 Tuesday

白南準はビデオが登場して50年で亡くなった。

 今朝(1月31日)の朝刊で、ナムジュン・パイクさんが亡くなったことを知りました。29日に亡くなったということでした。京都賞の授賞式のために来日した時の映像はすでに車椅子であったと記憶しています。手元にある、1984年に東京都美術館でおこなわれた『ナムジュン・パイク展〜ビデオアートを中心に』のカタログには「白南準」というサインがあります。当時、大学生だった僕は友人と2人で展覧会を観て、ロビーで休んでいたパイクさんを見つけてサインをお願いしたのでした。その時のことは今でもはっきり覚えています。その後、僕は映像の学校の教員になり、授業ではビデオアートの開拓者としての彼の話をし、作品は何回見せたかわかりません。展覧会のタイトルに「〜ビデオアートを中心に」とあるように、現代音楽からキャリアをスタートさせた彼の片足は、常に現代美術の文脈にありました。彼の業績は、ビデオだけでなく、フルクサスなどの芸術運動に関わりのあった方々が、詳しく書かれることでしょうが、僕のように80年代にビデオアートに出会った者にとっても、その後を決定づけるほどに重要な人でした。
 そして2006は偶然にもビデオテープレコーダーが登場して50年という年です。もちろん当時は放送用機器としてアンペックス社が発売したものです。当時のビデオテープは、幅が2インチです。2インチのテープと言っても若い人はピンと来ないでしょうね。mini-DVのテープは6.35mmで、2インチは約55mmですから。ご存じの通り昨年からテープレスのDVD記録やハードディスクムービーも一般的に普及し始め、ビデオテープはいずれ姿を消すことでしょう。そんな節目の時にパイクさんは亡くなったのです。
 節目といえば昨年2005年は、ビデオアート40年という年でもありました。40年前にパイクさんが当時発売されたばかりの民生用ビデオカメラとテープレコーダーのセット(通称ポータ・パック)を使って、訪米中のローマ法王を記録して、すぐに仲間と一緒に観たという、有名な話です。ビデオアート40年について何か動きがあったかというと、別に何事もなかったですね。2003年に仲間とそんな話をしたことがありましたが、僕自身も何かアクションを起こしたわけではありません。VTRの歴史というのは、技術革新の歴史ですから、50年だからといって何かを祝福する必要はないのかもしれませんが、ビデオアートの40年は文化の歴史です。このことが話題にならなかったのは、ビデオアート自体がその程度の認知であったということなのでしょうか? 何かアクションを起こさなければという気持ちも、40年より50年なのかな、と自分に言い訳していたことを思い出します。やっぱり何かしておけばよかった。
 おそらく、パイクさんが亡くなったことで、ビデオアートを回顧する動きが出てくるのでしょう。彼の作品や業績に改めて触れる機会ができれば、それは若い作家にとっても大きな転機になるかもしれません。僕がそうだったように。
 ドイツにいる中沢さんが、ドイツの動きを報告してくれるはずです。ビデオアートのもうひとつのスタートラインは1963年、当時の西ドイツ、ヴッパタールのパルナス画廊であったのですから。よろしくお願いします。
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ナムジュン・パイク
ビデオ・アーティスト(って肩書きだけにとどまらないですよね) のナムジュン・パイク氏が亡くなられました。 もう73歳になられていたのですね。 ご冥福をお祈りいたします。 http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060130i515.htm 倉橋
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